京都大学大学院農学研究科 応用生物科学専攻海洋分子微生物学分野

Q&Aコーナー

Q&Aコーナー

<研究についての質問>

Q. どんな研究をしていますか?

A. 私たちは”水圏”にすむ微生物について”総合的”な研究を行っています。少し具体的に説明すると、温泉やチムニーなど熱水環境・湖沼などの淡水環境・日本近海の海洋環境といった水圏環境において、微生物が「どんな分布をしているのか」「どんな働きをしているのか」を明らかにする研究です。私たちはこの微生物研究により、有毒物質を生産する微生物の防除、石油に依存しない有用物質の生産といった社会貢献を目指しています(詳細はこちら)。微生物に対して”微生物の分離から生理・生態・ゲノムの解明まで”総合的に研究を行っているのが当研究室の特徴と言えるかもしれません。

Q. 水圏の微生物について教えてください。

A. 微生物とは「肉眼で識別できない小さな生物」の総称です。微生物の存在は日常生活ではあまり意識されませんが、水中・空気中・土壌中など地球上の至る所に存在します。火山活動によって300℃を超す熱水が噴出する深海底でも微生物が独自の生態系を築いていますし、一見すると透明な海水にも、1mLあたり104~105個ほどの細胞が観察されるなど、微生物は水圏のいたるところに豊富に存在します。また生物とは定義されていませんが、細菌に感染するウイルスは海水1mL中に106~108も存在しています。

Q. なぜ水圏の微生物を研究するのですか?

A. 小さなカラダに大きな可能性を秘めているからです!例えば、海底熱水孔で誕生したとされる最初の生命は原核微生物に近い存在と考えられており、地表の7割を占める海洋における一次生産は主に光合成微生物が担っており、海洋環境における純一次生産量は陸上の年間純一次生産量に匹敵します。またファージは宿主に感染することで、宿主の量のみならず個体群変動などを通じて地球規模の炭素サイクルを制御すると考えられています。さらに一酸化炭素を消費し水素を生成することから将来的な産業応用が期待される一酸化炭素酸化菌など、特徴的な代謝を行うものも存在します。つまり微生物研究は、生命の起源や進化、物質循環といった観点で非常に興味深いものです。しかし一方で、9割超の海洋性微生物が未だ培養できておらず、その詳細な生理・生態は明らかとなっていません。こういった点から微生物研究は、未知なる可能性を秘めた宝の山といえます!

Q. どんな研究ができますか?


A. どんな研究ができるかはあなた次第です!当研究室には、次世代シーケンサーなどの機材や嫌気作業を行う設備があり、高度な実験を行うことができます。さらに外部機関・企業と協力体制を築くことで、素晴らしい研究環境が整っています。もちろん予算や実現可能性などを考慮する必要はありますが、先生方も学生の意見を聞き入れてくれるので、あなたのやる気次第で新たな研究分野を開拓することも可能です!

Q. 研究室に入るにはどのような知識が必要ですか?


A. 微生物全般に関する知識があるとよいですが、知識がないからと言って門戸を閉ざすことはありません。研究室に入ってからも勉強できる機会はあります。むしろ配属時の知識量によらず研究は勉強と試行錯誤の連続なので、「知りたい!」という研究に対する熱意の方が遥かに重要です!

Q. 外での活動はありますか?


A. 研究で成果をあげた学生は、国内にとどまらず国際学会でも発表を行っています。また各自の研究内容に応じて、全国各地へサンプル採取に赴いています。海洋でのサンプリング時には、水産試験場などの公的機関と協力する場合もあります。世間の感染状況を見ながらにはなりますが、外で活動する機会は多いです!

<研究室での生活についての質問>

Q. 研究室にはどんな人たちがいますか?

A. 学部生と修士課程の学生が大半です。知識・経験豊富な博士課程の学生や社会人博士もいます。

Q. コアタイムはありますか?


A. コアタイムはありません。なので学外活動(サークル、バイトなど)との両立をしながら研究を進める人も多いです。ただ実験ができる時間は原則9-20時と定められているので、研究計画をよく練る必要はあります。

Q. 研究室に入るとどのような進路がありますか?


A. 大半の学部生は大学院の修士課程まで進学します。また修士課程の学生は、卒業後博士課程に進む人もいれば、就職する人もいてその選択は本人の主体性が最大限尊重されます。就職活動にも理解があるので、研究との両立ももちろん可能です。主な進学先、就職先については別途にまとめているのでそちらをご覧ください(下記)。

Q. 研究室での公用語はなんですか?


A. 日本語です。定期的に開催される共同研究している研究室との会議は英語です。

<その他の質問>

Q. どのような人を希望しますか?


A. どんな人でも大歓迎です!大歓迎ですが、出来ることなら微生物に興味を持ち、その好奇心を探究してゆける人だと大々歓迎です!

Q. 研究室に入ると老けるって本当ですか?


A. 人間的に成熟します。

Q. 研究室を見学したい場合はどうすればいいですか?


A. 研究室見学は随時受け付けています。まずはお気軽に先生方に連絡してみてください。もちろん飛び込み訪問も歓迎です!

研究室卒業生の進路

2021年度

2020年度

2019年度

2018年度

2017年度

修士課程 東洋新薬、サッポロビール、P&Gイノベーション合同会社、公益財団法人 先端医療振興財団、雪印メグミルク

2016年度

博士課程 東京工業大学生命理工学院 (研究員)
修士課程 野村総合研究所、宝酒造、ニッコウトラベル

2015年度

博士課程 農林水産省、サーモフィッシャー
修士課程 大阪府、明治、NTTデータCCS

2014年度

博士課程 大阪府、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ
修士課程 大学共同利用機関法人 総合地球環境学研究所、タカラバイオ

2013年度

博士課程 モルガン・スタンレーMUFJ証券、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構、産業技術総合研究所
修士課程 ダウ・ケミカル日本、野村総合研究所

2012年度

博士課程 東京大学工学研究科(ポスドク)、京都大学農学研究科(ポスドク)、東京都
修士課程 林原、資生堂、日本電信電話

2011年度

修士課程 小林製薬、イトクロ

2010年度

博士課程 特許庁
修士課程 三井物産、神戸大学医学研究科(研究助手)

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